ホログラフィについてまとめてみたよ!
はじめに
世間一般で○○ホログラム、ホログラム○○と呼ばれているものはだいたい偽ホログラムです。注意しましょう。ホログラムというのは、ホログラフィという技術でできる干渉縞とことを言います。
ホログラフィとは
ホログラフィとは、光の回折と干渉を巧みに使った技術の総称です。一般的なカメラでは、物体からの光をセンサで記録しています。この物体からの光(物体光)とは別に光源(参照光)を用意します。そして、物体光と参照光を干渉させます(下図)。
光を干渉させると干渉縞ができます(中学か高校で習うはず)。この干渉縞をホログラムと呼びます。
この干渉縞を記録するものがイメージセンサのとき、特に、デジタルホログラフィと呼びます。
作成したホログラムに記録したときに使った参照光を当てると、記録した物体が浮かび上がります(下図)。
この説明では、ホログラムを物理的に作成していますが、コンピュータシミュレーションでホログラムを作成することもできます。コンピュータシミュレーションで作成したホログラムを計算機合成ホログラム(CGH:Computer-Generated Hologram)と呼びます。また、この手法のことを電子ホログラフィと呼びます。
つまり・・・
ホログラフィを大別すると以下の2つに分けられます。
・電子ホログラフィ
・デジタルホログラフィ
ホログラフィはなにがすごいのか
ホログラフィのすごいことを電子ホログラフィとデジタルホログラフィの2種類に分けて説明します。
電子ホログラフィのすごさ
今日では、様々な3D映像が世にはびこっています。皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
3Dテレビ、3D ゲーム、3D映画、etc…
これらを見て、どう思いましたか?
目が疲れたり、気持ち悪くなりませんでしたか?
これらは、目の錯覚を用いて3Dに見せる手法を使っているのです。
この手法は簡単に作れるというメリットはありますが、人に違和感を与えてしまします。
しかし、ホログラフィの技術を使う電子ホログラフィならば、自然に、普段私たちが見ている現実世界と同じように3D映像を見ることができます。
ホログラフィは3D (3次元映像)を再生できるのです!
デジタルホログラフィのすごさ
普通のカメラと違って、ホログラフィの撮影には参照光が必要になります。わざわざめんどくさいことをする意味はあるのでしょうか?
色々良いことがあるのですが、一般的なものでいうと、写真を撮ったあとピントを合わせることができます。
カメラやスマホで撮った写真がピンボケした経験は誰しもあると思います。しかし、ホログラフィの技術を使えば、そんな残念な思いをすることはありません。
ホログラフィは3次元映像を記録できるのです!
ホログラフィはなぜ3次元映像を記録、再生できるのか?
ここではさらに数理的に説明していきます。私たちは普段どのようにものを見ているのでしょうか?
私たちは照らされた物体からの反射光(物体光)でその物体を見ています(下図)。
物体光は式で書くと以下となります。
O(r) = A(r) × exp(jθ)
ここで、Aは光の強さ、r は距離、θは位相、 jは虚数単位です。
簡単に考えるため、光の強さが2D情報、位相が距離だと思ってください。
カメラは、カメラ内にあるセンサにどれだけ光が当たったか(光の大きさ)で色と明るさを記録します。上の式で表すと以下のようになります。
|O(r)| = |A(r) × exp(jθ)| = |A(r)|
このように、光の大きさを見ると、exp(jθ) (位相は距離です)が消えてしまいます。
次にホログラフィの記録について考えていきましょう。
ホログラフィの記録には光源(参照光)が必要になります。では、光源を上記の式に加えてみましょう。
|O(r)| = |A(r) × exp(jθ)+B(r) × exp(jφ)|
= √(A(r) × A(r) + B(r) × B(r) + 4A(r)B(r)conθcosφ)
上記のように、位相(距離の情報)が残っています。このように、ホログラフィは光の強さと位相を光の強さに変換して記録しているのです。
まとめ
ホログラフィは2種類に分けられます。
電子ホログラフィ・・・3D映像を違和感なく見せる技術
デジタルホログラフィ・・・3D映像を記録する技術
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